プラトンのさわり

昔むかし、『川の流れを抱いて眠りたい』というカッコいい時任三郎が歌うカッコいい唄がありました。「歌のない寂しい国でくたばってしまった奴がいた」とあるのですがコレ作詞した人は本当に詩人だなと思います。ぼくもジーンと来ちゃいました!一人カラオケも行きました。ところで今日取り上げる英文はそうした甘ったれたロマンティシズムを拒絶する人物についてです。

Plato banished poets from his state because they did not understand the products of their own making and as a result would damage language itself.

このセンテンスを読み解くポイントは何だと思いますか?

大学受験を経験した人なら、きっちり構文を抑えれば文頭に主節が来てbecause以下が副詞節であることは容易にわかると思います。そして訳出は

 「詩人は自分たち自身の制作物を理解せずその結果言語そのものを破壊してしまうからプラトンは自分の国から彼らを追放した」

となるのではないですか?

情報構造

私は受験勉強が人より長かったため普通の構文以外に、情報構造というものに出会うことができました。一般的には文頭の旧情報(常識・前提またはこれまでの文脈で述べたこと)から末尾の新情報(新たな展開)へと進むのです。旧情報➡新情報なのです。上記の訳出ではおそらく長文の内容理解はおぼつかないでしょう。たとえ点数が取れたとしても。ここでは主節も副詞節も主語が旧情報となっています。(主語が主題となる情報構造についてはこちらをご参考に

情報構造は節と節の関係が大事

英文は文と文の関係ではなく節と節の関係で成り立っています。ここは主節全体は旧情報(前提)となり後に来る副詞節が新情報(筆者の力点・主張)なわけです。私も長い浪人時代は予備校の構文詳解の授業でS, V, O, Cそしてそれらにダッシュがつくと就職要素とみなしそれを先に訳し、核である主節にかかるようにしていたのですが、まず上の訳出を見る限り分かりにくいですね。

主節と副詞節の間にコンマがない場合

もう一つこのセンテンスについてのポイントを補足しておきますと節間におけるコンマの有無ですね。このセンテンスにはありません。これは節と節との関係性が強いとみなせるのです。副詞節が理由を表すのなら相互依存しているわけです。これに対しコンマがあれば相関性がないか弱いことになります。譲歩節はいい例だと思います。このコンマは切断の用途とみなしましょう。

そうするとこれまでの私の解説をもとに忠実に訳出すると

「プラトンが自分の国から詩人を追放したわけは彼らが自分たち自身が創った制作物を理解せずその結果言語そのものを壊してしまうからだ」

先の訳と比較しましょう

「詩人は自分たち自身の制作物を理解せずその結果言語そのものを破壊してしまうからプラトンは自分の国から彼らを追放した」

どちらがわかりやすいかは一目瞭然ですね。

私見

プラトンはロマン主義に人間の特権を見出さなかったのですね。それは自然がもたらす受動感情にすぎないものですから、無味乾燥なものであれ彼はまず構築というものに重きを置いたわけなんですね。

まとめ

1.英文は旧情報(前提)➡新情報(主張)の流れで進む。そもそもそうでなくては英会話は不可能。

2.構造上は主節であっても内容上(情報構造上)はそれが一義的なものとは限らない。副詞節が後ろに来た場合一般的にはそれが筆者の力点・主張になる。副詞節はたんに主節の修飾にとどまらず、抽象➡具体の展開をもたらすものになる。

3.コンマは、筆者が単に気まぐれでつけているものではない(なかには意識せずつけている人もいるが)。挿入で用いられればそれは前の語句の付加的要素で、なければ節間の相関性が強く(理由・条件など)、あれば節間を切断しているため相関性は薄い(譲歩・対称など)。