ロマン派のプラトン主義への反撃

前に、遠い昔に哲学者プラトンは詩人を強烈に嫌悪したといいました。ところが18世紀末から「人間はロボットではない!熱くないといけないんだ 」と叫ぶ人が増えてきたのでしょうか。これは私の憶測ですが。おそらくこの筆者の念頭にあるのはフランス大革命でしょう。①は「古代ギリシャの反ロマン主義者」で解説しましたので今日は英文②③を読みます。

①Plato banished poets from his state because they did not understand the products of their own making and as a result would damage language itself.  ② Late eighteenth-century romanticism forever altered the relationship between philosophy and poetry.  ③Romanticism gave a legitimacy to the cognitive drives of the body,  to sense, emotion, passion, and so forth, all of which were favored over formal knowledge.

②の構文は受験戦争を戦ってきた人なら何ら苦労はいらないでしょう。しかし主題となる主語「18世紀末のロマン主義者」は前文①には登場してこなかった情報です。詩人をロマン主義者にいいかえたとも取れますが時代背景が離れすぎてますよね。話題転換が生じたのです。  

プラトン時代に抑圧されたロマン派と18世紀末に台頭してきたロマン派がどう関連するのか期待のしどころではないでしょうか。

③の構造はやや複雑です。all of which以降は形容詞節です。関係代名詞whichの先行詞名詞でなければならないのでthe cognitive drives of the bodyとsense, emotion,passionそしてイデオムとしてのand so forthです。この形容詞節の前のコンマも注目したいですね。これは前の節との関係性を切っているのです。もちろんここではコンマを入れないと文の構造が捉えられなくなるという理由もあります。

このセンテンスの主題である主語Romanticismは②の主題となる主語「18世紀末のロマン主義者」と同じとみなしてよいでしょう。主題が同じであるということは一般には内容上の展開がない、つまりいいかえと見てよいのです。要約するときは前の文だけを取り込めばいいでしょう。

全文を訳しますと

「①プラトンが詩人を自分の国から追放したわけは彼らが自分たちの制作物という意識がなく、その結果言語そのものも壊しかねないからだ。②18世紀末のロマン主義者は永久に哲学と詩の関係を変えてしまった。③彼らは身体の認知欲求、感覚、感情、熱狂などを正当なものとした。それらすべては形式的な知よりも好まれたのだ。」

英文のポイント

1.前後の節の主題が同じものなら、内容上の展開はない。

2. 形容詞節も副詞節と同様に英米人が読むように頭から訳すべき。今回の形容詞節はコンマがついているので問題はないが、ない時も
関係代名詞 = 接続詞 + 代名詞
である。

内容についての私見

この筆者は柄谷行人さんという哲学者です。この人はヒューマニズムが飛躍しすぎるとファシズムに化けますよとことある事に説いてくれます。熱狂などというのは容易に周りの人間と共感しやすい雰囲気になります。特定の集団に属している時も、時折自分を異化する必要があるのです。

また、筆者は30代の頃、「形式化の諸問題」というけったいなテーマに何故か没頭しました。私は、特に「知覚に依拠しないユークリッド幾何学」が面白かったです。例えば「無限遠点で平行線が交わる」という定理など。なぜ彼がこんな道を選んだのか興味のある方は是非読んでみてほしいです。

✱ この記事は表題を変えてnoteにも記載いたしました。