自然に逆らうインセストタブー(近親婚の禁止)はどこからきたの?

前に「自己言及性」(自然)のカオスについて触れました。そして近親婚もその一種の「自己差異性」をもつと考えられないでしょうか。身近なメスとの性交が動物の自然な欲望ですが、文化人類学者のレヴィ―=ストロースはなぜ人間は近親婚の禁止をしたのか、その起源を問いました。

彼は現存する未開社会にも他部族へ女性を贈与することで得られる安定した構造を見出すのです。

①We have been led to pose the problem of incest in connection with the relationship between man’s biological existence and his social existence, and we have immediately established that the prohibition could not be ascribed accurately to either one or the other. ②In the present work we proposed to find the solution to this anomaly by showing that the prohibition of incest is the link between them.

(マイ訳)

①私たちがずっと誘導され設定してきた問題というのは、人間の生物的なありかたと社会的なありかたとの関係をつなぐ近親婚についてです。そして直ちに立証したのはその禁止が正確にどちらか一方に帰因させることはできないということです。②この著書で私たちがこの変則性への回答を見つけようとしているのは、近親婚の禁止が両者にかかる帯であるということを示すことによってです。

英文の豆知識

✱ 前置詞 ofの特殊性

①は前にコンマのある接続詞andが文と文をつないでます。

はじめの文は We have been led to pose the problem だけで第三文型SVOが成立しています。そしてその後ろのof以下が形容詞句としてthe problemを修飾するのです。

ですが、ここに訳出上のミソがあるのですよ。

前置詞ofは、後置詞としての用途が強いのです。

つまりそれは前にある語(the problem) の内容物を顕在化させる用途を持つのです。マイ訳ではそれを意識しました。

前提⇒主張 問題の惹起⇒答え というように英文は読者と対話する形式が多くあります。

マイ意見

その集団内ではゴリラはハーレムな世界で、チンパンジーは乱交なのですが、なぜそしていつから人間は禁欲を選んで親族をつくったのでしょう。「文化」というのは始めからあるものではありません。「自然」から派生するものなのですがそれと同時にその「自然」を嫌悪する形で生まれるわけです。

もともと自然の一部であった人間が伝統社会においてさえもどうして親族構造(女性の贈与)という社会を創ることができたのかは謎です。オスが自分の遺伝子を持つメスの子を侵すというのは人間以外ならおかしくありません。ところがヒトはそれを拒むようになりました。現代では、遺伝学的な見地から否定しているのですがその批判は古代にはあてはまりません。

因みに、バタイユという文化人類学者は「侵犯」によって得られる快楽がよりに大きくなるためわざわざ「禁止」をつくったといっています。いずれにせよ哲学であろうと科学、文化人類学であろうと、それ単体を基礎において考えることが間違っているのは確かですね。専門分野というのは他のものを排除して誕生したものなのです。

 

 

参考文献

英文読解というと大学受験を想像しがちですが、「英語で読書」をするということなのでぜひ社会人の方も読んでほしいですね。そして自分なりに解釈し置かれているところまたは新たに踏み出そうとするところで役立てていただきたいです。